ぶなの樹のこと
10月の下旬、岩手県雫石町の葛根田川源流にあったブナの巨木『森姫』が倒れたとの報道を受けました。 樹齢は約500年。 樹高28m、幹周りが6mあまり。 もっとも私は見たことはありません。 しかしこのブナの森を見守ってきた白藤さんとは以前にお会いして話をする機会がありました。
写真は確か1999年(もしくは2000年かも)に世田谷区で行われる「ボロ市」(400年の歴史を持つ地元の祭りでフリマに似ているといえば似ている)でのショットです。 白藤さんは世田谷の野田さんが出す出店でブナ原生林を守る訴えが目的で盛岡から上京されました。
野田さんは、葛根田へ釣りに行くにつれ、ブナ林の素晴らしさに魅せられ、白藤さんと活動をともにするようになりました。 それでブナの苗木を配布し、都会の人々へこの貴重な森に目を向けてもらおうと運動を続け、白藤さんは葛根田のブナ原生林を守る会の会長として応援に駆けつけたというわけです。
白藤さんはこの会の代表として、奥地等産業開発道路(奥産道)の建設を阻止し、奥羽山地にひっそりとたたずむかけがえのないブナ林を守ってこられました。 同じようなケースで白上山地の青秋林道が工事中止になり、それが後々の世界遺産の指定へと高まっていったことがあります。
『はるかなるブナの森 -葛根田原生林-』
お問い合わせは:
盛岡市梨木町4-30 白藤 力様方
八幡平葛根田ブナ原生林を守る会
郵便振替 02320-1-24077 FAX 0196-51-1760
森姫の倒木は私にとっても悲しい出来事でしたが、自然は倒木更新、ある種の定めでもあります。 確かに私など及びもつかないほどの思い入れが白藤さんをはじめとする会の皆さんにはあったことと思いますが、おそらく悲しみというよりも静かに暖かくその運命を受け入れておられることでしょう。 巨木の倒木は日光を地面にもたらし、キノコの床になり、虫が集まり、森の動物たちの餌になる。 まさに自然界そのものをこの巨木が作り出すわけです。
屋久島の縄文杉もとうに寿命を過ぎているでしょうし、私にとって比較的身近な笹子峠の矢立の杉も中心部は空洞化して老木となっています。 樹齢500年・・・室町時代後期、ポルトガル人が種子島に鉄砲を伝来し、フランシスコ=ザビエルがキリスト教を伝えた時代にはすでにそこそこの樹であったと思うと、気の遠くなるような森姫の一生です。
やっぱり森は守りたいですね。 誰のためでもない、日本人ですし、地球人ですから。
2006年11月21日(火)
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