岩魚とブナのこと
山形へ行ってきました。 釣行記というには簡単ですが、ボクのホームページhttp://homepage1.nifty.com/seoto_nakano/ にアップしました。
岩魚はとても背骨の柔らかい魚です。 今回も石の間に入り込んだ岩魚を手で捕まえるのに苦労しました。 数センチの隙間の間でくるりくるりと体をくねらせることが出来るのです。 まだ見たことはありませんが、雨水が流れる林道をくねくねと渡る岩魚がいたという話は時折聞きます。 さすがに山を越えて隣の沢に入ることは出来ませんが、ほんとうにこいつは魚なんだろうかと思う面もあります。 写真で大岩魚がヘビを食べてしまった絵を見たこともあります。 もちろん小さなヘビですが、なかなか想像できない図柄です。
沢の岩魚の多くはこんな風にお腹がオレンジ色~赤色をしています。 普通の川では白いのですが、山の沢に入ると赤い腹をしているものが多いのです。 これはなぜなのでしょう。 どう考えてもその理由が思いつかないのです。 他の魚で考えてみるとウグイは産卵期になるとオレンジ色の線が入ります。またカワムツも腹部がオレンジ色になります。 なにか産卵と関係があるのかもしれません。 でも皆目見当がつきません。
この岩魚たちを守る山の森の中心が東北地方ではブナです。 昨今自然環境の象徴のような扱いを受けているブナですが、特別な樹木ではありません。もともと日本の森を形作っていた広葉樹のひとつで、関東以南にはコナラ、ミズナラ、クヌギなどが多いのに比べ、積雪に強いブナが東北地方には多いのです。 残念ながら、20世紀の節操のない伐採と植林のために、関東以南の森林は見る影もない姿に変わってしまいましたが、冬の深い雪と開発の遅れのお陰で東北地方のブナ林にはいまだに豊かな森を守り続けています。
東北の渓での釣りでは古来から変わることのない日本の姿を今でも垣間見ることができます。だからこそボクにとっては自分のルーツを振り返ることができる釣りでもあるのです。 杣道で出会う地元の人たちは今でも季節に応じて森と一緒に暮らしています。 今回も鎌を持って沢沿いに遡ってきた方に出会いました。 春、夏、秋と森の恵みをもたらし、人々は全てを取りつくすことなく、森を守るのに必要な分は必ず残す。 そういう営みを感じることが出来るのです。
今回あらためて痛感したのは、雨が降っても沢の水量がほとんど変わらないことです。 ブナが自然のダムと呼ばれる所以でしょう。 豊かな保水力が、降雨時には腐葉土にしっかりと水を溜め、渇水時になっても枯れることなく水を流し続けるのです。 そして長い冬が、地面の深くまでゆっくりと水をしみこませ、短い夏には様々な動植物がお祭りのように森中ににぎわう、そんな森の恵みに深く感謝したいと思います。
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