六本木~三田の坂 (4)
暗闇坂の坂上には一本松がある。 右折すると狸坂、直進すると一本松坂、左折すると大黒坂になる。
坂上の辻なので道標が複数見える。 大黒坂と一本松坂、一本松坂と暗闇坂をそれぞれ1枚の絵に収められる。 この一本松は平将門を攻めた源経基の伝説にまで遡る。 939年(天慶2年)ここにあった宿に宿泊した経基はこの松に装束を掛けたといわれる。 松を囲む石にもいくつかの年号が記されているし、松の下には「一本松」の石碑が複数ある。
まずは大黒坂を下ることにした。 名前の由来通り坂の中腹に大黒天がある。 坂の向こうには東京タワーが顔を覗かせている。 道の景色はごく普通の坂である。 坂を下って左折すると七面坂の下りになる。
坂の東側にあった本善寺に七面大明神の木像があったので付いた名前らしいが、その寺は五反田に移転してしまったとある。 五反田というより高輪台に近い桜田通り(国道1号)から少し入ったところに今の本善寺はある。 七面坂を下るとまた麻布十番商店街に戻ってしまうので、大黒坂を戻り一本松坂に入る。
一本松坂の先を右折すると西町インターナショナルスクール。 学校脇の裏道に素晴らしいケヤキが3本並んでいる。 すぐ近くには今もまだガマ池を中庭に持つマンションがある。 昔のガマ池はとても大きく今の10倍くらいあったようだ。 このガマ池が前述の麻布十番稲荷に祀られているガマの棲み処だった訳である。
ガマ池から仙台坂上に向かい、またまた警視庁で働く人たちの傍で写真を撮っては訝し気に見られる。
大体港区にはアメリカ大使館、ロシア大使館、中国大使館、韓国大使館と問題のある国の大使館があってその周りにはとりあえず任務上通行人を監視している公務員がたくさん働いている。
その中でも韓国大使館という最も微妙な立場の国の大使館がある仙台坂はとっとと下るに限る。 下ってふと麻布山善福寺を思い出して立ち寄ることにした。
善福寺の参道の柳の井戸は以前と同じく清水を湧き出させていた。 これは都心には少ない本物の清水。 全国の温泉や湧き水恒例の弘法大師が杖で突くと出てきた水ということになっている。 あまりにあちこちで聞く伝説なのでもしかしたら弘法大師は副業で作井業をやっていたのではないかと思えるくらいだ。 とはいえ関東大震災と昭和20年の東京大空襲の折にはこの清水が多くの人々の命を救ったというからありがたい。
善福寺で忘れてはならないのがこの銀杏の巨樹。 樹齢750年、幹回り10.5mは都内の銀杏で最大。 幹の中に焦げた樹があるが東京大空襲の際に焼けたものらしい。 惚れ惚れする銀杏である。
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