観音坂(千代田区駿河台)
23区内で観音坂という名の坂は渋谷区千駄ヶ谷と新宿区四谷とここの3ヶ所。 観音があればそう名付けそうなものだが、意外と少ない。 稲荷坂が9ヶ所もあるのにとは思うのだが、寺社仏閣を歩いてみるとやはり稲荷が圧倒的に多い。 民家の庭先にも稲荷がたくさん祀られている。 私の生家も明治から昭和までは稲荷信仰で、国鉄運賃がタダの7歳までは毎月津和野の太鼓谷稲荷神社に連れて行ってもらった記憶がある。 しかし同時に曹洞宗のお寺にも灯篭などを寄進していたから、稲荷信仰一本だったわけではなかった。 廃仏毀釈をしても、その前の千年に及ぶ神仏習合の方が民間には根付いていた。
新坂の一本南側の道が観音坂。 ここも短い坂だが、神田から駿河台へ上る坂。 坂上で道は少し南に角度を変えている。 坂上の北側には小さな観音様が鎮座していた。 これが坂の名の所以。
「この坂を観音坂といいます。『東京名所図会には、〝新編江戸志に、観音坂は埃(ゴミ)坂の並び、むかし芝浦観音寺やしきありし故に名づくなりとみゆ。此の坂の上観音院と称する仏刹ありしことは寛永の古図を見ても知らるべし。新編江戸志に観音寺とあるは観音院の誤りなるべし″と書かれています云々」*埃(ごみ)坂とはニコライ堂前の紅梅坂の別名
標柱にはこう書かれているが、この祠がその観音寺だったかどうかは疑問が残る。
しかしどんなにビルが立ち並んでも、神田と駿河台の高低差は隠せない。 前述の幽霊坂、紅梅坂、新坂、観音坂ともにその地形をしっかりと主張している。
photo: 2016/9/18
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