新坂(千代田区市ヶ谷)
JR市ヶ谷駅から麹町方面への道路は南に向かって上り坂になっている。 これを新坂と呼ぶが、江戸期の坂ではなく明治末期に開かれた坂道。 それ以前は隣の路地である帯坂がメインだった。 今の外堀通りから日テレ通りへと繋がる道はかつて武家屋敷の敷地だったところに、市谷御門から麹町に続く道に繋げるのに斜めに通したのである。 従って此の坂には特にこれといった話はないが、坂上の標柱には以下のように記されていた。「この坂を新坂といいます。新しく造られた坂ということでしょう。明治29年(1896)11月発行の『東京市区改正縮図』には三等道路として開発が計画されていますが、工事は未着工のまま時を過ごしています。明治39年(1906) 陸軍参謀本部による地図にも まだ開かれた様子がみられません。明治44年(1911)の東京逓信局編集による『東京市麹町全区図』には記載されています。この頃開発されたものでしょう。」
それ以前は帯坂と三年坂を短辺とした長方形の区画の住宅地だったのである。東京の市街地の地図を見ているとこの新坂のような周りの街並みとは異質な通りがあったりするが、おおむねそれらは歴史の新しい道だという事が多い。 江戸期からある新坂も多いが、ここの新坂は本当に新坂だった。
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