鍋割坂(千代田区千鳥ヶ淵前)
五味坂をそのまま進むと千鳥ヶ淵の戦没者墓苑に入っていく。 靖国神社と並ぶ戦没者を祀る場所。 靖国に行ったらぜひここにも立ち寄ってもらいたいものだ。多数の身元不明の戦没者はこちらに眠っている。 その前は桜で有名な千鳥ヶ淵。
対岸は北の丸公園。 千鳥ヶ淵は江戸前期、番町の台地から流下していた局沢川(つぼねさわがわ)を堰き止めて作られた。 この川は前述の善国寺坂から出てくる谷筋の川である。 今日、番町界隈を歩いて川を感じる人はまず居ないだろうが、それをイメージできると俄然街が面白くなる。
戦没者墓苑の北側に千鳥ヶ淵の貸ボード場がありその脇から西に繋がる路地が鍋割坂。坂上の標柱には次のように記されていた。「この坂を鍋割坂といいます。『新撰東京名所図会』には「堀端より元新道一番町の通りへ上る坂なり。」と書かれています。同じ名称の坂は各地にありますが、どれも伏せた鍋(台地)を割ったような坂であることからその名がつけられています。千代田区隼町の国立劇場の北側のところにも同名の坂があります。」
坂上を抜けると再び下って二松学舎大学の道になる。確かに形は伏せた鍋のようである。 この標柱の千鳥ヶ淵側にはかつてフェアモントホテルがあった。昭和26年(1951)からGHQの要請で作られ、主に外国人向けホテルとしてその部屋からの素晴らしい景観を誇っていた。 ユーミンの「経る時」(REINCARNATIONに収録)の歌詞に出てくるティールームはこのホテルにあったブラッスリー・ドゥ・ラ・ヴェルデュールがモデルらしい。♪水路に散る 桜を見に さびれたこのホテルまで♪
このホテルは2002年1月に閉館した。 曲のリリースは1983年だから、その頃にはもう寂れたホテルになってしまっていたのだろうと思うと、戦没者墓地と合わさって時代が変わっていく寂びを感じてしまう。
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