長垂坂(なだれざか)
六本木一丁目、ちょうど首都高速渋谷線が中央環状線と合流する大通りのY字路の1本六本木寄りの路地を入ると長垂坂(なだれざか)である。 素敵な名前だと思う。 坂の上下に標柱がある。「流垂坂、奈太礼坂、長垂坂などと書いた。土砂崩れがあったためか。 幸国坂(幸国寺坂)、市兵衛坂の別名もあった。」とある。
撮影したのは2015年11月で、新しい高層ビルの建設中だった。 テレビ東京が入った六本木グランドタワーだ。 その昔、バブル華やかな時代には六本木プリンスホテルだった。 クラブで遊びまわってここに泊まったbubblyな方々も多かった。 しかしこの坂は古い江戸の坂なのだった。
江戸時代、工事現場の向かい(写真右手)には寺が数軒並んでいた。 今は二寺が残るが、江戸時代には6軒ほど連なっていた。 微妙なくねりが古い坂であることを表している。テレ東側は大名屋敷だった。 三河国吉田藩(今の豊橋市)の大名である小笠原佐渡の守の中屋敷だった。
『新撰東京名所図会』には、急な坂というほどではないが、斜めに傾いた道だったのでなだれと呼ばれたと書かれている。 新しい高層ビルができるとこの辺りもきれいに仕上げられ、この傾き感を残した坂道が消えるのかと思うと寂しい。
<追記>
2011年の写真が見つかった。まだテレ東のビルの工事をする前で、標柱設置の翌年のものである。坂上からと坂下から1枚ずつ。
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