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2017年4月11日 (火)

すべり坂(麻布)

坂そのものはとても短い坂である。道家剛三郎氏の「東京の坂風情」を読んだ時にはっと気づかされたのだが、麻生十番商店街と大通りの間だけの区間の路地はこのすべり坂だけなのである。大通り側はファミリーマートが目印といいたいが、こういう変遷の激しい店舗を目印にするとすぐに役のたたない情報になりがちである。
 
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坂は商店街から大通りに向かってクイックな上り坂。大通りに出て、右手斜め方向に十番稲荷の鳥居が見える。実は相当に新しい神社である。戦災の後、昭和25年(1950)に今の場所に、麻布十番商店街にあった末広神社と永坂にあった竹長稲荷神社を合祀してできた。もとになった末広神社は慶長年間(江戸時代の始まったころ)の創建、竹長稲荷は少なくとも10世紀にはあったようだ。戦災はそんな神社をいくつも消してしまったのだろう。
 
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この十番稲荷にはガマが祀られている。階段の右脇にガマの石像があり、こちらのほうが存在感がある。神社では蛙のお守りも置いてある。このガマの話だが、一本松坂上の路地裏にあるNishimachi International Schoolの南にある蝦蟇池の物語がある。江戸時代文政4年(1821)に麻布古川辺りから出火した大火でこの辺りが殆ど焼野原になってしまったとき、山崎主税助(やまさきちからのすけ)の屋敷だけが延焼しなかった。邸内の池に住む大蝦蟇が水を吐き出して火を防いだということで江戸中の信仰を集めたという。
 
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今もマンションの裏手に池は残っているが私有地なので入ることはできない。マンション横から池の周りの藪を眺めることくらいしかできないが、雰囲気は残っている。ひっそりと残っているところが何より。かつては500坪ほどの池だったようだが、今は2割程度が残るのみ。そっとしておきたい場所の一つである。
 

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