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2017年9月 5日 (火)

西坂(中落合)

聖母坂下の下落合駅前交差点は新道旧道入り交じった六差路。 西北に入っていく路地が西坂の入口。 くねくねと曲がりながら高度を上げていく、いかにも昔の道筋である。 聖母坂通りのある場所には大正時代までは道がなく、その谷筋は徳川別邸の敷地になっていた。

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坂の上下にある標柱には、「西坂の名は江戸時代後期の絵図に認められる(堀江家文書「下落合絵図」)。『豊多摩郡誌』には、「西坂、新宿道、字本村と字不動谷との間にあり」とある。かつて坂上にあった徳川男爵邸の牡丹園は、盛時に一般公開され、落合の名所の一つになっている。」と書かれている。 別の記録だと菊の時期に庭を解放したとあるが、どちらも事実だったようだ。

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今は徳川邸もなければ牡丹園もないが、坂とマンションの間の樹木からわずかにその雰囲気が残っているように感じられる。 この坂の上の西坂公園のところで分かれる道もこの西坂も、江戸時代からある古道である。 昔はこの坂が落合村と中井村の村境になっていた。

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明治の末まではほとんど杣道だったようだが、今は整備された明るい坂道である。 昭和の記録でも薄暗い坂道だと書かれている。 字本村の西の端にあるから西坂と呼ばれるようになったと伝えられるが、字中井からすると東になるので、中井の人々も西坂と呼んでいたかどうかはいささか疑問である。

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