梨木坂(文京区本郷)
梨木坂、別名を梨坂という。 菊坂の途中北側に上る路地の坂道である。 入口両脇には時代を忘れたように、リヤカーと道路にはみ出した植木があり、江戸の坂道の雰囲気を盛り上げている。 以前訪問した時にはリヤカーはなかったので、たまたまかもしれないが、今時リヤカーが置いてあるだけで昭和へワープしてしまいそうである。
「梨木坂は菊坂より丸山通りなり。むかし大木の梨ありし故坂の名とす」と『御府内備考』にある。また、『南向茶話』には、「戸田茂睡(『紫一本』の著者、1629~1706)という人が、この坂のあたりに住んでおり、梨本と称した」
いっぽう、江戸時代のおわり頃、この坂のあたりは、菊の栽培が盛んで、菊畑が広がっていたが、この坂のあたりから菊畑がなくなるので、「菊なし坂」といったという説もある。戦前まで、この近くに古いたたずまいの学生下宿が数多くあった。
坂上は胸突坂の坂上に出合う。 この坂の西側は崖になっていて、途中の民家がかつて使ってたであろう急な階段が残っている。 しかし坂上は平凡な印象。 やはりこの坂は坂下からの眺めがすべてである。 坂下の菊坂の向かいに魅力的な階段路地が、菊坂に並行する川跡の道に繋がっている。
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