蓬莱坂(池上)
汐見坂は台地を東に下る坂、そしてこの蓬莱坂は南に下る坂である。 南面の坂道は歩いていても異様に明るい気がする。 周辺は閑静な住宅地。 坂上からの眺望はいい。 傾斜は標識では12%と書かれている。
以前は坂下に標柱があったが、訪問時にはなくなっていた。ガードレールが緑色の新しいものになった時に撤去されたのだろうか。 以前の標柱には次のように書かれていた。
「坂上の東北に通称「黒鶴稲荷」という稲荷社がある。伝説によるとその境内で捕獲された黒い鶴を、将軍家に献上したところ吉兆であると喜ばれたという。「蓬莱」とは、縁起のよいことに使われる意味もあり、坂名はその黒鶴伝説に因みつけられたのであろう。」
坂上の東側の崖線には縄文時代の横穴古墳群があった。 その時代から人が生活を営んでいた場所だった。
ただ黒鶴稲荷は汐見坂のさらに向こうにある。 どうして遠いほうのこの坂にその名を当てたのかは疑問が残る。 この坂ならむしろ坂の西側にある太田神社が近く太田坂と呼んでもいいように思ってしまう。
太田神社は那須与一を祀っている。 壇ノ浦の戦いで船上の扇を射抜いた有名な那須与一から、一度の挑戦をモノにしなければならない試験の合格祈願・学業成就祈願、スポーツや競技の勝利祈願などは特にご利益があるとされている。
この坂が開かれたのは大正時代くらいのようだ。 耕地整理が行われ、民家が増えてからのことである。 池上本門寺の高台の突端と並んだ、もう一つの突端地形で、その間は桐ケ谷と呼ばれていた。
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