新坂(大蔵)
大蔵という地名は小田急線の祖師ヶ谷大蔵駅があるためにもっと北の地域の印象があるが、実際はほぼ世田谷通りの南側、東名高速の南あたりが大蔵の地名の区域である。 成育医療センターが以前は大蔵病院という名前だったが、あのあたりが大蔵の北端になる。 ただし東京市に組み込まれる前の大蔵村は、現在の祖師ヶ谷大蔵駅あたりまでを含む広い村域だった。
大蔵村の鎮守は現在の大蔵の最南端にあたる大蔵氷川神社(1238年創建)だが、その西にある天台宗永安寺も1490年の開山と古い。 境内の銀杏の巨樹は樹齢数百年とあり、寺を何百年も見守ってきた。
その永安寺脇を上るのが大蔵の新坂である。 古老の話としては、新坂、ざとうころがし、旧坂があったという。旧坂がどこを指すのかは特定できないが、おそらく氷川神社下の坂道ではないかと推察している。 この坂の北側、東名高速が切通しになっている辺りが丘になっていて、そこから下ってくる旧道はそのまま氷川神社に繋がっている。一方でその尾根筋の辻から下って永安寺脇に出るのが新坂である。 どちらの坂も下ったところには六郷用水(現在はこのエリアは暗渠)が流れており、用水沿いの道は筏道と言われ、青梅の筏職人が六郷から歩いて青梅奥多摩に戻る街道であった。
現在新坂の北側の丘を削って開通した東名高速脇では新たに外環自動車道とのジャンクションの工事が進んでいる。 しかし完成時期はまだ未定、私の生きているうちに出来るのだろうか。
大蔵地区を分断した東名を渡る橋が、この大六天橋と座頭ころがし上のグランド橋の2ヶ所だけある。 大六天橋はこの橋の南側に大六天があったことに由来するが、氷川神社裏に数年前に移転した。 岡本の第六天も岡本八幡に移転合祀されたので、この地域にはもう単独の大六天はなくなった。
大六天(第六天)というのは東日本にのみある神社で、関東の武蔵国を中心として、北は宮城から西は静岡までの分布。 あまり大きな神社はなく、小さな社が多い。 祀る神様も一律ではないし、祀っている神が魔王だったりと、謎の多い信仰対象である。
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