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2018年3月15日 (木)

八幡女坂(岡本)

岡本の谷戸川と丸子川(六郷用水)に挟まれた尾根筋は誠に面白い。 静嘉堂文庫(三菱財閥の墓所跡)の西側に隣接して岡本八幡神社がある。 二つの川に挟まれた急峻な崖が岡本八幡を威厳ある神社に感じさせている。 男坂とは呼ばれていないが、正面の参道の階段は上るのをためらうほど急峻である。

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向かって右手にゆるい階段坂があり、そちらが女坂。 こちらは傾斜は比較的緩やかで歩きやすい。 岡本八幡の由緒は不明だが、鎌倉鶴岡八幡宮よりの勧請という言い伝えなので、鎌倉時代の後期だろうか。 江戸中期に改築された記録がある。 最近パワースポットとして知られるようになったらしいが、明治以降岡本村の村社とされている。

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女坂は神社脇まで上ってもさらに上を目指して尾根筋の道まで行っている。 尾根筋の道からは北参道があり、八幡宮はそこから少し下っている。 女坂の神社への入口は二つあって、上の写真のパイロンのところに広い入口、そして手前のイヌシデの樹下に古い階段がある。

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以前は砂利と階段の女坂だったが、今はコンクリートで固められて風情がなくなった。 それでも静嘉堂文庫と神社の樹木に覆われた女坂を歩くと神秘的な感覚がある。 神社の記録では昭和39年に谷戸坂の第六天を合祀したとあるので、前述の谷戸坂の話を証拠づけている。

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神社の参道の西側は広く公園になっており、その中に岡本民家園がある。 区の有形文化財第1号。 江戸時代後期の典型的な農家を再現している。縁側に座ってのんびりすると時代の流れすら忘れてしまいそうになる。

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周辺で最も興味深いのは岡本隧道だろう。 岡本公園の奥にひっそりとあり、上の写真は反対側(ドミニコ学園側)の出口で尾根の向こう側になる。 この尾根を突き抜けて120mの送水管が通っている。 大正10年(1921)に渋谷区では多摩川の水を必要としたため、大規模な水道工事を行った。 地下の送水管は砧下浄水場(多摩川脇)からここを抜けて駒沢給水塔へ、そこから三軒茶屋を経て渋谷へ給水するための隧道で、駒沢給水塔と合わせて極めて珍しい近代水道の歴史遺産である。

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