いなり坂(恵比寿)
2015年にJR東日本管内で連続放火事件があった。 その中でJR山手線恵比寿駅の放火はここのケーブルだけで、山手線、埼京線、湘南新宿ラインをすべて止めてしまうという事態になった。 この線路わきケーブルは線路わきの道路近くにあり、設置場所にリスク認識がなかったと言わざるを得ない。 翌月自称ミュージシャンという怪しい男が逮捕され事件は決着した。
その事件場所はこのいなり坂の坂上から線路脇に入ったところ。 いなり坂は恵比寿駅の西口脇から線路沿いに高度を上げていく。 貨物駅時代の恵比寿駅はこの坂の中腹あたりにあった。 西口はなく、東口のみだった。 こちらは台地の上に上るための古くからの道なのである。
線路沿いに山手線のホームを見下ろしながら上っていくのだが、線路との間には網塀とガードレールがある。 この二重構造は線路に車が転落しないようにするためだろう。 しかし古いガードレールで裏側は錆びている。 事故防止目的ならそろそろ交換した方がいいかもしれない。
坂上に近づくとビルの隙間にお稲荷さんがある。 これがいなり坂の由来である。 この稲荷は意外と古いもののようだ。 明治の地図にはここに鳥居マークが既にある。 稲荷は福徳稲荷という。 最近パワースポットブームで人気が出てきたようで、残念ながら入口にロープが張ってある。 神社というのはそういうものではないのだが、どうもズレてきているように思う。
江戸時代はこの辺りを稲荷山と呼んだという。 当時からこの稲荷を信仰する人は多く、明治時代に貨物駅だった恵比寿駅を乗客も乗降りする駅に変える工事中に、絵馬を割って焚火をしたり、小便を掛けたりすると祟りがあったという。 もっとも昨今のパワースポット情報そのものが、くだらないものばかりで辟易しているが、こういう街の稲荷は大切にそして親しみ深くしなければならないと思う。
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