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2018年5月 4日 (金)

道玄坂(渋谷)

坂名は全国区の高い知名度、おそらく誰でも知っている道玄坂。 現在渋谷駅周辺でJRとクロスするのは国道246号線ともうひとつ、道玄坂から宮益坂の道の二本がメイン。 国道246号線は戦後高度成長期に開通した道である反面、道玄坂は江戸時代以前からの古い街道筋である。

江戸名所図会には、宮益坂から下り渋谷川を渡って道玄坂をくねくねと上り、やがて松見坂に至る景色が描かれている。 ほぼ完全に野原と山の景色である。

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道玄坂の標柱には次のように書かれている。

「江戸時代以来、和田義盛の子孫大和田太郎道玄がこの坂に出没して山賊夜盗のようにふるまったとの伝説がありました。しかし本来の道玄坂の語源は、道玄庵という庵があったことに由来すると考えられます。」

前半の説は道玄が洞窟に潜んで盗みや強盗をはたらく話で、こっちの方が私は面白い。後半の説は、この地に道玄寺という寺があって、そこの僧侶の名が道玄だったことに因むというもの。 ただ宮益坂は江戸時代から街道沿いの店もあり街の雰囲気はあったが、道玄坂が開発されたのは明治の後期で、世田谷区に軍の施設が出来て軍人が往来するようになってから人が集まり始めたという。

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道玄坂が本格的に人通りを見せるようになったのは、関東大震災で焼け出された人々が世田谷方面に家屋を求め、そのために往来が増えたことによる。大正生まれの亡父が十代の終わりころ東京に出てきて渋谷をうろついていた話をしてくれたことがある。 道玄坂上には伴順三郎の芝居小屋があったことなどを聞いたが、30年くらい前までは花街っぽい面もたくさんあった。 渋谷駅の西側は長い間「俗」の街であり続けたのだと思う。

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