御女郎坂(久我山)
京王井の頭線久我山駅前の商店街は古い道である。 駅を出て左に進むと、間もなく馬車みちが横切る。 ここからうえみちまでの坂が御女郎坂と呼ばれる坂である。 馬車みちはっ府中街道の旧道でべつめい下道。 うえみちは途中曲がりながら、五日市街道に出るための道だった。
御女郎坂は「おじょろざか」と読む。 由来などはまったくわかっていないようだ。 どこにも坂名の表示はなく、区で編纂した「杉並の通称地名」には戦前まで使っていた通り名とされている。 完全消滅してしまうまではそう遠くないかもしれない。
戦前は田畑の広がる地域だったが、戦後徐々に駅を中心に新興住宅が広がり、農家が急速に減少したため、昔からの伝承は消えて行ってしまうのだろう。 都心や田舎には結構残っているのに、首都圏の住宅街には歴史が感じられないのはいささか残念なことでもある。
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