松山の坂(板橋区中台)
環八通りに井荻トンネルという長い地下部分がある。 開通は1997年、それまでは拙宅から関越自動車道に乗るのに西武新宿線をどこで渡るかが難関だったが、このトンネルで随分改善された。 しかし、井荻トンネルの中で、笹目通りと環八通りが分岐しているので、いまだに車線を右往左往する車が多い。
その環八通りが成増台(武蔵野台の一部)を縦断している。 川越街道より北側にある練馬トンネルは井荻トンネルより後の2006年に開通し、蓮根川の谷を通って新河岸川流域の低地に抜ける。 東武東上線が成増台の尾根筋を通っているが、環八通りはうまいこと練馬トンネルでその下を抜けている。 地形をうまく利用した道路づくりである。
その環八通りが蓮根川(現在は暗渠)沿いから広大な低地に抜けるところにあるのが松山の坂である。 坂の西側、戸建住宅の多いほうが住居表示では若木、東側の標高の高い高層マンションがある方が中台と、町境になっているが、通り名は若木通り。
地名は松山ではない。 区の資料によると、坂の上に松林があったので松山の坂と呼んだという。 また、坂下に天狗杉という大きな杉があったので天狗坂という別名もある。 昔は坂上一帯が松林で、遠くから中台へ向かう時の目印になっていたという。 残念ながら現在はヒマラヤスギが多く植えられているが、もとは松林だったのである。
中台側の台地上にはサンシティというマンション群が立ち並ぶ。 ここは戦前までは一面の林、戦後になり旭化成の倉庫と研究所があった。 マンション群は1980年頃に建ったらしい。現在も人工ではあるが樹木が多くいい環境である。
この成増台から赤羽台にかけては遺跡がまんべんなく広がっていて、この中台にも縄文・弥生時代の遺構や出土品が出ている。 台地の縁に当たる場所には必ず縄文・弥生の痕跡があるのが興味深い。
Photo:2017/1/29
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