向坂(板橋区徳丸)
徳丸を東西に走る西徳通りと南北に延びる徳丸通りとの交差点は宮の下交差点。 少し北側を西から東に流れていたのが前谷津川。 今でも谷になっていて、川跡は暗渠の緑道になっている。東西の西徳通りは川沿いの道だが、南北の徳丸通りは川を挟んで南が向坂、北が鷹番の坂で、薬研状になっている。
上の写真は南側の向坂途中から宮の下交差点を見下ろしたもの。 その向こうの直線部分は土手状にして谷を越えるところ。 さらに向こう側は上り坂になり鷹番の坂となる。 この徳丸通りの土手部分は戦前にはすでに開通していた。東武練馬から徳丸を経て赤塚を分度器状に半円を描いて回る道路で、早くから整備されていた道だった。
向坂はカーブを描きながら上っていくが、ここは明治の終わりから切通しの坂道になっていて、それ以前は急勾配の難儀な道だったと思われる。 車でなく人馬の時代は観音講の坂の方が使われていたに違いない。
切通しの状態は坂の途中の擁壁を見ると一目である。10mを超える段差がある。戦前は前谷津川の南側の向坂周辺はほとんど民家もなく、多くの家は北側の鷹番の坂周辺に集まっていた。 そのため、あちらから望むと向こう側の坂道ということで向坂となった可能性が高い。 板橋区の資料だと、徳丸本村の台地から望む南方の向山に上っていく坂道、とある。ただ向山という地名は古い地図にも見当たらないので、一般名としての向い山ではないかと思う。むけい坂という別名もある。
宮の下というのは、北側にある徳丸北野神社の下ということであろう。北野神社については北側の坂道で別述したい。 こちらの向坂の西側の擁壁の上には昆虫公園という面白い公園がある。数年前に施設は撤去されてしまったが、雑木林が残され、カブトムシも自然繁殖しているようだ。
photo : 2016/11/12
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