種井坂(板橋区四葉)
赤塚公園の沖山遺跡脇から南にむかってゆるやかにカーブを描きながら上っていく坂道が種井坂(たないざか)である。 坂上から少し西に行ったところに四葉稲荷神社がある。 ということはこの道は宮前坂から続く古道の一部ということになる。 江戸時代の古地図を見ても間違いないようだ。
稲荷神社の道路が北に向かって台地を下り、高島平方面に行く坂。旧小字沖口にあるので沖口坂ともいう。坂下近くに「たない=種井」という2坪せいぜいの広さの池があり、種もみを浸すのに使ったという。これから坂の名が付いた、と板橋区の資料にもある。
種井を調べてみたが、僅か2坪の池では古地図に載ることもない。昭和中期まで赤塚公園のグラウンドになっている辺りには大きな池があったがこれとは違う。 種井坂の道路も近年再開発で拡幅しきれいになった道路だが、2坪といえば四畳半より小さい。 ただ、坂の途中沖口遺跡とは反対側に深い窪みと池がある。
種井とは無関係だが、忽然と残る池が気になった。 種井坂と東隣にある駒坂は昔の小沢に沿って付けられた道で、種井坂沿いにあった細流の源頭がこのあたり。 ということは現在も湧水が出ている可能性が高い。板橋区の湧水リストにはこの窪地が載っている。個人所有らしい。 赤塚公園もまた湧水の多い公園である。これらの湧水のおかげで、縄文時代から人間が住着いて、さらに弥生時代には農耕を行うための最適な条件の土地となったのだろう。
photo : 2016/11/12
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