天神坂 (板橋区徳丸)
天神坂の天神は徳丸北野神社である。 長徳元年(995)に京都の北野天満宮から分霊を勧請したもので、既に千年を超える。 江戸時代には天神または天満宮の社号だったが、明治6年から北野神社となった。 当然ながら祭神は菅原道真である。
境内には月山の出羽三山神社の分社や富士塚もあり、江戸時代は徳丸本村の鎮守として各地の山岳信仰を取り込んでいたようだ。 富士塚については小さなものだがきれいでいかにも富士塚という雰囲気がある。
もともと徳丸を南北に走る村の主要道は北野神社の西脇を南に下り、向坂で再び上っていた。 その下り坂が今でもなかなかの急坂で、歩く人も相当難儀をしている。昭和の中期まではほとんど民家もなかったが、高度成長期に造成が進んで今では民家で地面が覆われている。
徳丸の台地から前谷津川の谷地に向かって落ちるように下っていく。 昔は関東ローム層の赤土面で雨でも降ろうものならぬるぬるでツルツルだったようだ。 この坂の勾配の急さは西隣の鷹番の坂と比べると不自然なくらいである。 しかし鷹番の坂は数倍の距離を掛けて崖を斜めに上るように付けられているからである。昭和初期には天神坂を車で上るのは無理だったのではないかと思う。
坂の高低差は坂上が26m、坂下が10mなので、普通の台地の際の坂と変わらないが、ここは本当に急に感じる坂になっている。 昔の道のままの道筋だからだろう。 坂上には、「自転車は降りて通行してください」という標識が立っていた。
photo : 2016/11/12
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