« 六郎坂(大田区仲池上) | トップページ | 相生坂(大田区仲池上・上池台) »

2018年11月10日 (土)

八幡坂(仲池上)

子安八幡神社は慶元元年(1256)に当地武蔵池上郷の地頭(領主)だった池上宗仲が、鶴岡八幡宮の分霊を勧請して創建したのち、池上本門寺に場所を譲って現在の地に遷座した。 池上本門寺の日蓮が身延山から常陸に向かう途中で死去したのは今の本門寺である池上宗仲の邸でのことだった。 宗仲は日蓮に帰依した熱心な信者だったので、自分の勧請した八幡を本門寺に寄進して移転したのである。

 

P1020767
池上本門寺は武蔵野台地の最南端にある重要拠点だが、仲池上の八幡神社の場所もそのすぐ北側の台地、崖の上にある。参道の階段は急で長く、標高7mから24mへ一気に登る。 本門寺の高低差には負けるがここも砦や神社には最適な場所である。

 

P1020773
八幡坂は神社の北側を上る急坂である。 当然、八幡神社の脇なので八幡坂と呼ばれた。 坂下には六郎坂と同じ流れ(呑川の分流)があり、そこには子安橋が架かっていた。 鸛の巣流れと洗足池からの流れを合わせた沢である。

 

P1020781
八幡坂は江戸時代の切絵図ではその道筋がない。しかし明治初期の地図にはあるので、もしかしたら江戸時代からあった道なのかもしれない。 訪問時坂上では猫が見事に横断歩道を渡っていた。 ただし八幡神社の境内が終わってもまだ坂は上っている。坂の最上部は28mあり、高低差は21mとかなり落差のある坂道。

 

P1020785
坂上の台地を切通しで東海道新幹線と横須賀線が分断する。 江戸時代は池上村。 池上の地名の由来は諸説あって、かつてこの辺りは湿地帯や池が多く亀が沢山いたので、池と亀で「イケガメ」→「イケガミ」に転化したという説や、蒲田駅と池上駅の間にある蓮沼駅の周辺が大きな池で、その先(上)にあったので池上となったなどという説がある。

 

大昔から最近まで多摩川は相当な暴れ川だった。そして田園調布以南の多摩川の都心側は低地が広がる。暴れ川の多摩川が池上の辺りに三日月湖のような河跡湖を残した可能性は極めて高い。 池上氏が統治したからだという説もあるが、藤原氏の末裔がこの地で池上を名乗った時にはすでに池上という地名はあったようだ。地名の由来は大部分が地形地質に由来するのがふつうである。

 

photo : 2017/2/26

2021年5月に再訪し撮影。

Cimg2210 

<2021/5/3>

| |

« 六郎坂(大田区仲池上) | トップページ | 相生坂(大田区仲池上・上池台) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 六郎坂(大田区仲池上) | トップページ | 相生坂(大田区仲池上・上池台) »