神明坂(大田区石川町)
東京工業大学の南側を西川東へ上る坂道が神明坂です。 東工大のキャンパスは大岡山駅の西側一帯に広がっていて、キャンパス内を南北に呑川の河岸段丘が走ります。 神明坂もその河岸段丘を上る坂になります。 段丘の高さはおよそ10mほど。 それほどの段丘ではありませんが、ちょうど運動場の脇でかつては九品仏川が呑川に合流していました。江戸時代は呑川の東が石川村、西が奥澤村でした。
神明坂の道筋は江戸時代からある古い道で東に延びており、道々橋村の花抜坂へ繋がっていました。坂下に木製の標柱があります。
「昔、坂のそばに、村の鎮守の神明社があったので、神明坂というようになったと伝えられる。神明社は現在の石川神社である。」
石川神社は村の鎮守だったとは想像できないほど小さな神社です。 河岸段丘の崖線にわずかな平地を切り開いて建てられています。しかしながら正保年間(1644年~)開村以来の鎮守で、古くは石川村のみならず遠く品川界隅に至るまで崇敬者が多く、現在でも、除夜祭の際にお配りする御神箸を用いて食すれば忽に歯痛治まると云われています。
この神社と東工大の運動場の間に素敵な坂道がありました。
階段坂なのですが、無名の坂で12mの高低差を50mで上るので傾斜は24%にもなります。 坂下の住民は大岡山駅に行くのに、ここを上ってキャンパス内を通って近道にしています。 この無名坂からはなんと富士山が望めるのです。 訪問時も地元のご婦人と「今日はよく見えますね」と話しながら富士を眺めました。
都内で富士を眺められる坂は極めて貴重になりました。都心の富士見坂は全滅しました。 かろうじて世田谷の多摩川の河岸段丘にあるいくつかの坂が富士山を望むことが出来る程度です。 またこの坂の途中から石川神社の境内に出る細道があって、なかなかの無名坂でした。
photo : 2018/1/7
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