鸛の巣坂(大田区上池台)
仲池上の旧学研通りの南北にある坂のうちで最も勾配のきつい坂の一つが鸛の巣坂である。 ライフ(旧学研本社)の交差点を中心に稲荷坂と相対しているが、鸛の巣坂の方が急坂である。 ライフの脇を進むと目の前に壁のように迫ってくる。
高低差は坂の舗装が白い部分に限ると、距離80mで落差11mだから14%になる。 坂の上下に標柱が立っている。 そこには次のように書かれている。
「鸛(こうのとり)の巣があったということからこの付近を鸛の巣山と呼んでいた。坂名はそれに由来する。また、坂下に今でも残る水路は、鸛の巣流れと言われている。」
坂を見上げていると冬が楽しみに感じられる。もし自分が少年だったら間違いなくそり遊びをするだろう。 鸛の巣流れは細流だが大したものである。 ただし現在の鸛の巣流れはすべて暗渠となっている。 農業が盛んだったころは用水路として働き、その後は排水路として働いてきたが、現在は下水道の役割に甘んじている。
道がまっすぐで耕地整理後の坂かと思いきや、江戸時代からある古い道である。 関東大震災以前は坂下は田んぼがあり、坂周辺の斜面は果樹園と広葉樹という風景だったようである。関東大震災後、東京の西側に宅地が急速に造成されたときに耕地整理され、坂周辺の斜面と台地はほぼ民家で埋まったが、谷の向こう側には昭和中期まで自然が多く残っていた。
photo : 2017/5/3
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