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2018年12月14日 (金)

工兵坂(練馬区常盤台)

練馬区には不思議な形の街区がある。 同心円状に広がる街区が平和台と常盤台の町境に広がっている。 こういう街区はヨーロッパやアメリカの街づくりにみられ、都内では田園調布の街区が同心円状である。 勿論これは近代以降に区画整理された町並み。 田園調布の場合は、大正12年からの土地分譲で開かれたことが「ブラタモリ #96」でも放送されていた。

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さて、この同心円街区だが、ある説によると、幹線道路計画が北東-南西、北西-南東の45度傾いたルートで計画・開発されたのに、街区は東西南北の道路計画でつくられた結果、幹線道路との交差角度が90度ではなく45度になったというもの。 土木屋や不動産屋は自分たちのビジネス上の価値と効率を求めるので(南向きを作りたがる)、こういうちぐはぐなことになるのだろうか。

気になったのは農地の時代の土地割。古い地図を見ると、東西南北など気にしてはおらず、地形に対して素直に土地割をしている。 それが本来の土地利用なのだが、都会の住宅開発や道路開発は自然や地形を無視したものが多く、そのため人間的な感覚では気持ちの良くない町割や道筋になってしまう。 昔の道でまっすぐなのは寺社の参道くらいのものである。

右上の青い線は石神井川支流田柄川の暗渠。 赤い線が工兵坂。 左半分が同心円型の街区。 その間にあるのが工兵坂。 区立仲町小学校の南側を上る坂道で、暗渠の標高が26m、同心円街区のセンターが33mあるので、小学校脇から西に向かっての上り坂になる。

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小学校前周辺はほとんど勾配がないが、小学校が終わった辺りから上り坂になっている。 実際の坂は緩やか。 この地域は江戸時代には下練馬村の一部で、坂の西側が「本村」とあるので、村の中心に近かったようだ。

この工兵坂の道筋は今神道という古道だった。 今神(いまかみ)というのは下練馬村の小字だった地域で、田柄川沿いの工兵坂の坂下周辺の地名。 そこから重現(現在の区立開進第一小学校辺り)に繋がる道が今神道であった。 昔は重現の方が人口が多かった。

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今神道の田柄川から重現への上り坂は悪路で、農民はかなり難儀をしたという。 大正15年にこの道の改修が行われ、それを施工したのは近衛工兵大隊だったことから、村人は工兵坂と呼ぶようになったと伝えられている。

重現には下練馬村の村役場や子供たちが通う開進小学校もあり、困っていた村人が大変助かったので工兵隊への感謝も兼ねてそういう呼び名にしたことは、坂名から現在にまで伝わるものとして微笑ましい。

photo: 2018/10/28

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