仙川坂(世田谷区給田/調布市)
甲州街道はところどころで国道20号線から分かれた旧道を残している。 上高井戸(環八通りとの交差点)から仙川までは3㎞近く旧道を残しており、その最も西にあるのが仙川坂である。 仙川坂は、仙川に向かって調布側から下っていく坂道で、周辺は甲州街道沿いでも変遷の激しい地域だが、旧道沿いはマンションが増えたものの、道筋は昔の姿を比較的とどめている。
この坂が世田谷区と調布市の境界になっており、坂の北側は調布市仙川、南側は世田谷区給田。 仙川に架かる橋の名前は大川橋。 仙川は決して大川と呼べるような川ではないのでいささか違和感がある。 かつては地元の人が氾濫を繰返す仙川と付き合いながら住んでいた。 現在の大川橋は昭和10年代に架けられたコンクリート橋だが、それ以前は石橋であった。
石橋は御影石で築かれており、その上に盛土をして荷馬車が滑らないようになっていたという。 江戸時代は急坂だった仙川坂や対岸の給田坂も、石橋を架ける時に盛土して緩やかになった。 明治までのこの甲州街道は両側に樹木が繁る暗い道だった。
仙川の西で甲州街道に滝坂道が合流していた。 滝坂道は渋谷道玄坂から調布滝坂を繋ぐ古道。 甲州街道は内藤新宿を出ると次の休憩宿は高井戸。 そして布田五宿(国領、下布田、上布田、下石原、上石原)が民家の多い場所で、高井戸と国領の間にある仙川辺りはほとんど民家のない寂しい場所だったようである。
photo : 2018/11/10
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