瓶割坂(新宿区新宿)
靖国通りは新宿大ガードから新宿三丁目を経て九段下に至る大通り。 しかし戦前までは細路地だった。 伊勢丹パーキングのある新宿五丁目交差点を過ぎると、次の信号である新宿一丁目北辺りからわずかな上りになる。 高低差は2mちょっと。 遠目に見ると上り坂になっているのが分かる程度である。
この道は戦後開かれた道。 新宿五丁目東から新宿御苑入口までの南北の都道305号は別名を柳通りとか、花園通りとか、はたまた御苑大通りとか言われるが、定着しない。 ここだけ違和感のある広い道になっているのは都電が新宿通りからこちらへ南下して、新宿通りで東に向かい四谷方面へ走っていた名残りである。
新宿五丁目東から東に進むと南側に寺が並ぶ。 大通り側は成覚寺と正受院だが、すこし南の太宗寺が有名である。 明治時代までこの太宗寺の池から川が北に向かって流れ、蟹川となって早稲田大学の大隈講堂から脇の庭園を経て、神田川に注いでいた。 成覚寺の西側には蟹川の橋が架かっていて、この通りはそこから東に向かって上り坂だったのである。
上の写真は東側から見たもの。 歩道橋があるところがかつての新宿厚生年金会館の前になる。 そこが最高地点になって、向こう側(西側)は蟹川に向かって下り、手前(東)側は大木戸から流下していた紅葉川の水域である。 つまりこの微高地は分水嶺になっているわけである。
瓶割坂については、横関英一氏が著書の中で詳しく論説しているが、このお椀を伏せたような形をいうらしい(別説もあり)。
photo : 2018/12/28
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