別荘坂(練馬区大泉)
東京都練馬区大泉町を流れる白子川に向かって土支田通りから下っていく坂道が別荘坂。 練馬台地を白子川は深く削り取っている。 歩道もある整備された道路で交通量も多い道。 坂の高低差は約10m、白子川を渡す橋が別荘橋と親柱に記されている。
この道は長久保道という古道で、清戸道の旧宮田橋付近で北に分かれ、富士街道(ふじ大山道)を横切って光が丘をぬけ、笹目通りを横断、土支田通りと交差し、白子川の別荘橋を経て膝折(朝霞市)で川越街道と合流した。
清戸道の旧宮田橋付近というのは、おさる坂の坂下にある石神井川の道楽橋をそのまま北西に進んだ十字路あたりで(昔の石神井川の支流筋)、現在も宮田橋敷石供養塔が建っている。 長久保道はそこから北西にあった古道で、おさる坂とは同じ街道筋ということになる。
江戸時代、この辺りに元禄時代まで村名主だった「荘」という姓の家があった。 のちに近くに別の「荘」さんが越してきたので「荘埜(そうの)」姓に変えたそうである。 そこからこの橋の名前が別の「荘」さんということで別荘橋となったというのが練馬区の伝説にある。 荘埜さんのお名前はレアで全国29,585位、およそ110人しかいない。 その中の何割かがご子孫なのだろう。 坂名はこの別荘橋に由来する。
坂下の別荘橋の大欅のたもとに地蔵と庚申塔が祀られている。 左の小さいほうは嘉永3年(1850)の駒形の庚申塔。 右側は天明8年(1788)の地蔵立像。 地元の人に守られていることがお供え物や花でよくわかる。
長久保道の長久保というのは旧新倉村の字名だが、明治24年に東京府大泉村に吸収合併されて地名が消えた。 長久保道の起点は前述の旧宮田橋で、この古道沿いには石塔石仏が多く残っているので、いつかまた散策してみたい。
この坂の北隣にある「清水山の森」はカタクリの花が群生する都内の公園として知られる。 桜の花の咲き始めるころにあの可憐な紫の花が咲く。 園内には湧水があり、その周りにカタクリが群生している。
photo : 2018/11/7
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