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2019年8月27日 (火)

小坂緑地の庚申塔(世田谷区瀬田)

国分寺崖線には名所が多い。 二子玉川は高島屋を中心としたショッピングゾーンだと大多数の人は思っているだろうが、実は国分寺崖線を背景に見どころが極めて多い。 そのため江戸時代から行楽地として人気を博し、多くの著名人が崖線に別荘などの施設を造った。美術館で有名な静嘉堂緑地もその一つ。三菱財閥二代目の岩崎彌之助、四代目岩崎小彌太のコレクションが収まる美術館の周りには、ジョサイア・コンドル設計の霊廟が立ち、森の一角には民家園があったりして、芸術派にも自然派にも良い。

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静嘉堂の門の向かい側にも崖線の緑地が広がっている。こちらが小坂緑地である。北側に馬坂、南側にとうかん坂があるが、このとうかん坂の階段を上るとここが崖線であることを体感できる。小坂緑地は旧小坂家住宅に付随する庭園で、衆議院議員であった小坂順造氏の別邸として使われていたもの。都心から玉電で行くリゾート地だったのである。

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庭園を入ると2基の庚申塔が目に入る。 左側はとても大きな唐破風笠付の角柱型庚申塔。 青面金剛像、邪鬼、三猿が描かれており、宝永5年(1708)の造立である。願主15人の銘もある。 もう1基は中型で一猿のみのデザイン。こちらは元禄2年(1689)とさらに古いもの。

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この2基の庚申塔はもとは六郷用水よりも多摩川寄りの玉川4丁目36にあった幽篁堂庭園にあったもの。昭和初期に築造された幽篁堂庭園は幾度も所有者を変え、東京五輪前には不二サッシ(株)の関連会社の所有になり、再び迎賓館として作庭され、多くの石造物を有していた。平成13年(2001)年にはその庭園も廃止になり、石造物は他所に移されたが、この2基は世田谷区に寄贈されここに設置されたというのが経緯である。

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小坂緑地から南に下ると丸子川(六郷用水)を下山橋で渡る。その南の一角に新しいマンションがあり、遊歩道に囲まれているが、その遊歩道の一角に幽篁堂庭園という石標が立っている。二子玉川がショッピングゾーンではなく、ブルジョア層のリゾート地であった歴史をこの石標から感じられれば、時空の旅を経験できるかもしれない。

場所  世田谷区瀬田4丁目41-21

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