上鷺宮の願掛け地蔵尊(中野区上鷺宮)
西武新宿線鷺ノ宮駅から中杉通りを北へ600mほど歩くと路傍に2基の地蔵が立っている。地元では「子連れ願掛け地蔵」と呼ばれている。中杉通りは江戸時代からあった道筋。阿佐ヶ谷村から下鷺宮村、上鷺宮村を繋ぐ街道であった。当時この辺りは中村、上鷺宮村、下鷺宮村のそれぞれの村境が近く、現在も上鷺宮と中村東の町境である。どちらも北向であることから、おそらくは上鷺宮村にとっての塞ノ神だったのだろう。
左側の大きい方の地蔵は正徳5年(1715)10月の造立。「奉供養念仏講中」とあり、台座に「上鷺宮村 願主 篠氏」とある。いっぽうの小さい方の地蔵は造立年不詳、「奉造立菩提念仏供養念仏中二世安樂」とあり、こちらも台座には「多摩郡上鷺宮村篠丈右衛門」の銘がある。このふたつの地蔵には面白い言い伝えがある。
祈願する人が白装束で夜中に念仏を唱えながら小さい方の地蔵を倒すと、大きい方の地蔵は倒された小さい地蔵を起こしてもらいたいために願い事を叶えるというのである。成就すると、祈願した人は自分が倒した小さい方の地蔵を起こしに行くという風習である。なかなか面白い村人の風習だと思う。
場所 中野区上鷺宮1丁目2-13
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