福蔵院前の北向地蔵(中野区白鷺)
福蔵院の北側に垢離不動尊があり、南側には北向地蔵がある。北向地蔵は向きが北だからそう呼ばれるのだが、この地蔵はこぶとり地蔵とも呼ばれている。ちなみに福蔵院の正門(山門)は南側にある。こぶとり地蔵がある一体も福蔵院の墓所だと思われる。
この地蔵の造立年は不明である。地蔵本体はかなり風化が進んでしまいいささか危ない感じがする。こぶとり地蔵というのは「小太り」ではない。真面目にコブやオデキを取るというご利益のある地蔵の意味である。地元では、コブやオデキができると小石を供えて祈願し、コブやオデキが完治すると団子をお供えしてお礼をするという風習が続いていたようだ。
これだけの風化はおそらく以前は堂宇がなかったのではないかと思われる。かつて鷺宮周辺が民家も稀な農地だった時代から、人々が小石を供え続けてきた様子をずっと見守って来たのだろう。ちなみに別当寺である福蔵院と鷺宮八幡宮を回り込むように妙正寺川は流れており、もし古代にここに館城があったとしても不思議ではない地形の立地である。この南側は宮前と呼ばれる地域で、そこには民家もあったようだ。
場所 中野区白鷺1丁目16-12
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