五日市街道藤の庚申堂(杉並区宮前)
警視庁高井戸警察署は井の頭通り側が正面玄関で裏口は五日市街道側になっている。この裏口から五日市街道を100mほど東に進むと、藤棚と庚申堂がある。この辺りが昔、大宮前新田と呼ばれていた地域。江戸時代前期の寛文年間(1661~1673)頃、五日市街道は砂川道と呼ばれていた。立川の砂川へ向かう道という意味であろう。その頃街道沿いを新たに開拓して新田を切り開いて新田村となった。
立派な堂宇の後ろにあるのが藤棚である。「庚申の藤」と呼ばれ、かつては樹齢300年の古木の藤であったという。今の藤は新しいもののようだから、南に隣接していた大ケヤキと共に切られてしまったのだろうか。おそらく前の藤は庚申塔と同じころに植えられたもので、当時はここから富士山が見えたので「富士見浦」と呼ばれていたという。
堂宇の中を格子の隙間から除くと、右側に大きな庚申塔、左に小さめの庚申塔が並んでいる。右側の庚申塔は駒型のもので、造立年は元禄9年(1696)11月。高さは120㎝ある。青面金剛像・三猿の図柄で、右側には「武列多摩郡 奉寄進庚申供養」、左側には造立年と「大宮前新田村」の銘がある。
左側の庚申塔は舟型。こちらも青面金剛像と三猿の図柄。造立年は延宝6年(1678)9月とあり、古いものである。どちらの庚申塔も下部にあ願主名がたくさん書かれている。新田村を開墾し、五日市街道で輸送を可能にしたことは後に豊かな農村になる条件がそろったことになったのだろう。
場所 杉並区宮前1丁目17-25
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