要町延命地蔵尊(豊島区要町)
要町(かなめちょう)は池袋の西、山手通り(環状六号線)と池袋駅西口からの要町通りの交差点辺り。今でこそ中高層のマンションが建ち並び、都会の様相を呈しているが、人が住み始めたのは昭和に入ってからで、大正期までは谷端川の左岸に水田が広がっていた。昔からある道は立教通りで立教大学の前から田んぼと谷端川を渡った先で道は南北に分岐していた。このあたりの旧地名が地蔵堂。そこから北に延びる今では寂れたえびす通り商店街が古道である。
要町通りから350m程北に進むと西に分岐する道に延命地蔵尊の堂宇が現れる。なかなか立派な堂宇である。昔は道路の向かい側にあったらしい。というのもえびす通り商店街は実は暗渠で、谷端川支流(西大下水)が流れていたという説がある。ただ、標高からして微妙な説である。この辺りは大正時代まで北荒井と呼ばれていて、大正期の地図を見ると石仏の印はえびす通り商店街沿いにある。路地の南から北に移ったというのがおそらく正しいだろう。
地蔵は丸彫の立派なもので、造立年は享保元年(1716)8月。念仏講中による造立で、武刕豊島郡長崎村荒井の銘がある。荒井はこの辺りの地名である。この辺りの現在の地名は高松だが、どうも味気ない。しかし高松は長崎村にあった小字で、後年取ってつけた名前ではないのが救い。荒井が高松に吸収されてしまった感じがする。
場所 豊島区要町1丁目41-12
| 固定リンク
コメント