天沼地蔵(杉並区天沼)
中央線の線路に比較的近い場所にある小さな公園、公園の名前は「天沼地蔵前公園」。天沼地蔵が正式な名称かどうかは分からないが、公園名になっているのでそのまま使わせていただいた。実際には地蔵菩薩立像が1基と庚申塔が1基である。
調べてみるとこの地蔵の場所は江戸時代から道の分岐点だった。ここから東南側は阿佐ヶ谷村、地蔵のある側は天沼村というのが江戸時代の村域だから、塞ノ神であるともいえるだろう。石仏の左手前に角柱があり、「奉供養庚申講」と正面に彫られている。この角柱には「武列多摩郡天沼村」の銘があり、造立は享保12年(1727)11月。2基の石仏よりも少し後である。
左は地蔵菩薩立像(舟型)で、宝永2年(1705)10月の造立。「武刕多摩郡天沼村」の銘がある。講中は14人で蓮台の下に名前があるが読めない。右は駒型の庚申塔で、青面金剛像、三猿の図柄。こちらも「武刕天沼村」とある。造立年は元禄11年(1698)11月である。この村はずれの辻で300年余り、人々の往来を見守ってきたのかと感慨深く拝ませていただいた。
場所 杉並区天沼1丁目5-19
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