常徳寺の石仏(文京区本駒込)
徳源院の隣にある常徳寺は浄土宗の寺院。寛永7年(1630)に湯島切通に創建され、天和の大火の後の天和3年(1683)に下駒込村の地に移転したのは、徳源院とほぼ同じパターンである。山門を入ると右手に「おその地蔵」がある。
おその地蔵は古いものではない。建立されたのは大正11年(1922)。台石には「十万人親縁記念供養塔」とある。説明書きによると、三田その子という女性が嫁ぎ先で結核を患い、幼い娘と別れて療養生活をしていたが他界してしまった。生前に、もし生まれ変われたらお地蔵様になって同じ病で苦しむ人を救いたい、という思いを残して亡くなったのを聞いた宮崎林蔵という檀家の人が、結縁者を募りお金を集めておその地蔵を建立したという。今でいうクラウドファンディングである。
おその地蔵の前に舟形光背型の地蔵菩薩立像を尊像とした庚申塔が立っていた。中折れを補修した形跡もあるが、「奉供養庚申」とあり、三猿だけでなく日月もはっきりと描かれている。造立年は元禄6年(1693)9月。地蔵の尊顔と宝珠が欠損している。この庚申塔だが、文京区の資料には載っていなかった。しかし石の質も良いもので、おそらく元禄のもので間違いないと思う。
境内には、猿田彦大神の塔(大正9年造立)があるようだが、訪問時は見つからなかった。
場所 文京区本駒込3丁目7-16
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