戸越八幡神社の庚申狛犬(品川区戸越)
戸越八幡神社の創建は大永6年(1526)。隣接の行慶寺の開祖である行永法師が崖下の池(清水池)からご神体が出現し、同時に京都山城国の石清水八幡宮の分霊を勧請して始まったとされる。この神社では戸越が「江戸越し」に由来するという説をあちこちに展開している。まあ神社というのはそういうもので、現在は御鎮座500年(2026)で改修記念事業を進めている。
八幡神社の北側に戸越銀座があるが、そこは谷筋で境内よりも7mほど低い。宮前坂や三井坂、清水坂などがその地形を教えてくれる。この神社は都内有数の商店街に接していることもありいつ来ても参拝客が途切れない。
その神社の狛犬が庚申講中によるものとして知られている。一対の狛犬は、品川区の指定有形文化財になっており(戸越八幡神社石造狛犬)、説明板も立っていた。延享3年(1746)に戸越村の村民がお金を出し合って奉納したものである。当時は庚申講が盛んで、本村や平塚の庚申講が中心になって資金を集め奉納したという。
それぞれの狛犬の台石にはびっしりと名前が刻まれており、全部で207人の名前があるらしい。当時の戸越村のほとんどの人の名前があるらしく、民間のこういう情報が記録されていることは極めて稀なのである。戸越の由来は諸説あるので、この神社のいう由来が正しいのかどうかは分からない。峠を越えるというが、同じ意味に〇〇峠、〇〇越え、〇〇越し等の呼び方がある。戸越も江戸越しの説と、谷戸越しの説とがあり、いろいろ調べてみると面白いが、残念ながら決定打がない。
場所 品川区戸越2丁目6-23
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