東和パンの庚申塔(板橋区大谷口上町)
現在の川越街道(国道254号線)の南側の不思議な場所にある庚申塔。もともとはどこにあったのか分からないが、ある場所が東和パンというパン工場の前の細路地入口。この細路地は裏の道に抜けることが出来、その先には慈光寺というお寺があるのでその境内にあるのが一般的なパターンである。しかし現実はパン工場の前にある。
庚申塔は笠付角柱型の大きなもので、高さは1.2mある。日月に青面金剛像のみというシンプルな図柄。下部には願主名がある。向かって右の側面には「奉供養庚申講中現當二世安楽祈所 大野栄蔵 同きん 結衆 欽言」とあり、左側面には正徳2年(1712)11月28日の年紀と「武州豊嶋郡板橋村海老山之江 平沢悦治郎」の銘がある。海老山というのは、江戸から来ると石神井川の下頭橋に向かってゆっくりと下っていく海老山の坂に残る地名で、この街道沿いは江戸時代には海老山と呼ばれていたもの。
保存状態が極めていいのは小松石を使っているからであろう。江戸城の普請をする際に伊豆方面から運んだ小松石の余材を入手して彫ったのだろうか。ただし気になるのは願主が三面にあるが、殆どが江戸時代というよりも明治時代っぽい名前である。後から彫り足したのかどうか、少し訝しかった。
場所 板橋区大谷口上町14-2 東和パン内
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