かぶとやの庚申(板橋区栄町)
板橋区は新宿区、千代田区に並んで旧地名が保存されている。東武東上線大山駅の北に栄町という町がある。東西400m南北600mほどの区画で、その中央を東西に通るのが豊島病院通り。この道は古い道で、中山道の仲宿と川越街道の上板橋宿を結んでいた道が現在に至っている。豊島病院通りというのはこの道沿いにある東京都系列の豊島病院からくるものだが、途中の辻にかぶとやという食品店とタバコ屋があり、かぶとやの角に庚申塔が祀られている。
堂宇というよりも簡易的な屋根で、いかにもかぶとや(柴田さんというらしい)が自前で造った雰囲気が出ている。近所では通称「かぶとやの庚申塔」で通っているらしい。高さは87㎝、駒型で日月、青面金剛像、邪鬼、二鶏、三猿の図柄である。青面金剛の向かって右には「奉造立庚申供養二世安楽」とあり、左には年紀が宝永4年(1707)11月と刻まれている。
板橋区の資料には舟型とあったが、見た感じはやはり駒型である。硬い石材なのか、それぞれの形はきれいに残っているが青面金剛の顔だけはのっぺらぼうになっていた。ところでこの栄町界隈は明治時代は競馬場だったことはあまり知られていない。都内にはかつて10ヶ所もあった競馬場だが、道として残っているのは目黒競馬場くらいのものである。当時はこの庚申塔も競馬場の周回コースの内側になる。果たして競馬場があった数十年?の間はどこにあったのだろうか。
場所 板橋区栄町19-19
| 固定リンク
コメント