妙足院の庚申石仏(文京区小日向)
小日向には名坂が多い。見事なのは鷺坂、その北には八幡坂、鼠坂、そしてそれらの坂の上から南に下るのが大日坂である。この大日坂の坂の由来が坂の説明板にある。
「坂の名の由来は、坂の途中に大日堂があったことから里俗に呼ばれるようになったものであろう。堂のあるこの寺は天台宗で、覚王山妙足院と号し、開祖は浩善尼上人(紀州家の奥女)で、堂廟の創立は寛文2年(1662)といわれている。その後 何度か火災にあったので、堂は現在に至っていないが、坂の北の方の道造りは、妙足院で施工したと伝えられている。小日向の名の由来については、古く鶴高日向という人の領地だったが 絶家した後、「古日向があと」といっていたものが、いつか「こひなた」と呼ばれるようになったのであろうと、「御府内備考」では述べている。」
その妙足院はとても小さな寺院で寛文年間(1661~1673)の創建と言われる。普通の広めの民家と思ってもいいくらいである。昔は長谷寺という寺号があったが現在はない。ご本尊の大日如来というのが、言い伝えによると慈覚大師が唐で賜ったというもの。真偽のほどは分からないが、江戸時代に信仰の対象になったくらいだからご利益はあるのだろう。本堂へのアプローチには丸彫の聖観音像が立っている。
その奥にあるのが、舟型光背型の聖観音菩薩像の庚申塔。首のところで中折れしているが、補修の状態からして昭和年代だろう。本体の造立年は寛文8年(1668)11月と江戸時代初期のもの。右側に「庚申供養」の文字がある。
場所 文京区小日向2丁目17-6
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