平安地蔵(板橋区南常盤台)
平安地蔵と言っても平安時代のものではない。東武東上線ときわ台駅から西へ200mほどの住宅街のマンションの一角に立派な地蔵堂がある。堂内には地蔵菩薩立像が二基祀られている。
2体の地蔵尊の造立は新しく、昭和23年(1948)6月のもの。堂宇前の説明書きには、昭和20年6月10日午前7時55分より約2時間にわたり、この付近一帯はB29による空襲を受けた結果、死者269名、重傷者86名、建物全壊260戸と記録されているが、実際にはこれをはるかに上回る人々が罹災した、とある。
右の大きな地蔵は大人、左の小さい地蔵は子供を表している。戦後になって、亡くなった人々の供養と同じ過ちを繰り返さない願いを込めて、地元有志が浄財を集め建立、「平安地蔵」と命名したもの。私が生まれたのは戦後十年余りの頃で、まだまだ傷痍軍人などもいたが、戦後75年を過ぎた今、多くの人々は戦争のことを忘れてしまっている。近代のものではあるが貴重な地蔵尊である。
場所 板橋区南常盤台2丁目11-19
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