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2021年1月 1日 (金)

つげの木庚申(練馬区小竹町)

地下鉄有楽町線(西武有楽町線)・副都心線が小竹向原駅はギリギリ練馬区である。西側出口のある小竹向原駅交差点は板橋区と練馬区の区境。この区境はかつてのえんが堀の流れに沿っているため、区境は最も標高の低い筋になっている。とある書にはえんが堀は素掘りの千川上水の流れが地中に浸み込み湧水として窪地に湧いたものとしているが、江戸時代からの短期間にこんな谷が出来るわけはない。おそらく数千年かけて谷を形成しているはずだから元々川があったものと考えている。

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かつての村道筋で向原から西へ向かい谷を下りきると小竹に入る。その小竹集落の入口にあるのがつげの木庚申である。庚申塔が合計5基、広い敷地に野ざらしだが祀られている。かつてはえんが堀流域は水田で、小竹の集落と向原の集落はそれぞれ台地上にあった地形を考えると、この庚申塔群が見てきた風景が思い浮かぶ。

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一番右にある小柄な笠付角柱型の庚申塔は元禄11年(1698)11月の造立。小さいと言っても高さは1m近くある。正面の文字は推定で「奉寄進庚申供養」、側面には「武列戸嶋郡上板橋小竹村  志野吉兵衛」の銘がある。戸嶋郡は豊嶋郡の誤字である。隣りの地蔵菩薩立像だが、脇には「奉造立庚申供養二世安楽所  志野八兵衛」とあるので、庚申講中による庚申塔と見ていいだろう。「武刕豊嶋郡上板橋村」の銘があり、造立年は延宝8年(1680)8月である。

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地蔵菩薩像とこの斜めに傾いた庚申塔の間にある樹木は新しいつげの木のようである。ツゲはモチノキ科の樹木で、庭木にされることの多いポピュラーな低木である。つげの木脇の傾いた笠付の庚申塔は明和9年(1772)10月の造立。日月、青面金剛像、邪鬼、三猿、二鶏が彫られている。左には「講中二十六人」とある。隣りの板碑型庚申塔は最も古く、寛文13年(1673)8月の造立。三猿と蓮場が彫られているが、上部に文字が沢山あり、「奉造立庚申供養安楽所」「上板橋村 施主  念佛光同行」とあるが、念佛光は念仏講のこと。

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左端に一つ離れて立っているのが、駒型庚申塔で造立年は享保2年(1717)11月。日月、青面金剛像、邪鬼、三猿、二鶏の図柄だが、邪鬼と三猿がぐしゃっと一体化していて面白い。「武刕豊嶋郡上板橋小竹村」の銘が側面にあり、正面下部には「施主等九人敬白  願主 篠傳四郎」とある。これら5基の庚申塔は村境の守り神として、江戸時代から300年ものあいだ、ここに在った可能性が高い。魅力的な庚申塔群である。

場所  練馬区小竹町1丁目18-8

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