天明3年銘石造道標(品川区中延)
東京23区内の古道は街中にひっそりと残っている。古道は地形に対して素直にできるので、まっすぐなものは意外に少ないが、中原街道の洗足坂上と旧東海道の大井を結ぶ品川道への古道は真っ直ぐな道である。古道も江戸を遥かに遡ると、しばしばこういう道がある。特に長原駅あたりは定規で引いたようにまっすぐで、その道が商店街になっていて現在も生活の息吹を感じさせる。
その古道から北へ分かれ、中延を経て中原街道の平塚に行く古い道がある。説明板には、「この道標は、旧中延村を横断する中通り(中原街道と池上道を結ぶ)と、平間道(上池上・久が原を経て下丸子で池上道と合流し、平間に至る)との分岐点にある。」書かれている。
道標には、「右 うの木 光明寺道」「左 池かみ道」と刻まれている。東海道の大井に出る道の途中に池上本門寺がある。鵜の木へ向かう道は途中から南進し呑川を渡る。天明3年は1783年。田沼意次が権力を握っていた時代である。
堂宇の中には駒型の庚申塔が祀られている。造立年は不詳。青面金剛像の三猿のシンプルな図柄である。ここから北側の立会川流域は明治時代末期まで水田が広がる農村風景だった。
場所 品川区中延5丁目11-16
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