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2020年12月12日 (土)

蘇峰公園の石仏(大田区山王)

徳富蘇峰(1863~1957)は貴族院議員でありながら歴史家、思想家、ジャーナリストの多彩な才能を持った人であった。小説家の徳富蘆花は蘇峰の実弟。世田谷区に蘆花の居宅を中心にした芦花公園があるが、大田区には蘇峰の旧宅を公園にした蘇峰公園がある。蘇峰は歴史家だけに、庭であった公園にはいろいろな石仏石塔が残されている。

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西側の入口近くにあるのは大きな自然石に「サ三夜」と彫られた二十三夜塔。「サ」は廿の意味。造立は明治17年(1884)8月23日。月待日待ち信仰は民間信仰のひとつで、陰暦8月23日の夜に月待ちをすれば願い事が叶うと信じられていた。上部には日月(日輪月輪)があり、裏面には年紀と願主名がある。

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園内の坂を上るとポツポツと石塔がある。その中のひとつが上の念仏供養塔。「願主 三ヶ尻村講中」とあるが、三ヶ尻村というのは見当たらず、三尻村という埼玉県北部の旧幡羅郡の村。現在の航空自衛隊熊谷基地の周辺にあたる。蘇峰が近県から収集してきたものであろう。

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園内の山王草堂記念館の裏手に進むと、「古塚」がある。説明板によると、古墳ではなく、平安時代末期から鎌倉時代にかけて祭祀に使われていた塚らしい。その塚の斜面には自然石の馬頭観音塔が立っている。造立年は弘化3年(1846)6月で、願主名小沢由之▢とある。この馬頭観音の出所は分からない。

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古塚の前の植込みの中には珍しい形の笠付き角柱型の庚申塔がひっそりと佇んでいる。通常の笠に比べるといささか貧相な笠である。日月に「奉供養庚申」とあり、下部三面にそれぞれ一猿、計三猿が陽刻されている。造立年は正徳4年(1714)9月。それぞれの面には、「是よりまつ山みち」「是より左くわんおんみち」「是より右くまかやみち」とあるので、これも埼玉県北部のもののようだ。

出所が大田区でない為だろうか、大田区の資料には蘇峰公園の石仏は記載がない。しかし、もうかなりの年数ここに在るのだからあえて大田区の石仏石塔としてみたいと思う。

場所  大田区山王1丁目41-21

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