正光寺の庚申塔(北区岩淵町)
岩淵宿の中心の寺院は浄土宗の正光寺(しょうこうじ)。鎌倉時代に創建され荒川近くにあった西光寺の名跡を継いで、慶長7年(1602)にこの場所に正光寺として創建した。江戸時代には梅王寺や十王寺を末寺とし、八雲神社の別当寺として栄えたという。
岩淵では最も広い境内を持ち、当時の様子を窺うことが出来るが、やはり目立つのは山門から入って正面に立つ10mほどの高さの岩淵世継大観音(安産子育観音)だが、石仏ではないので割愛したい。広い境内だが、左手の墓所に向かう道脇に自然石の庚申塔がある。
俳句の歌碑として建てられたもののようで、「庚申塔(庚甲塔と彫られている)」の文字の下に、「月(白)雪に 興ある花乃(の) 木曽路か南(な)」とある。作者はさくら庵加湧居士とあるが何者かは知らない。造立年は嘉永3年(1850)春とある。俳句については全く分からないが、個人的な解釈をすると、春先の残雪の木曽路を旅している時に梅の花に白雪が積もっているのを見て季節の移ろいを感じた…ということだろうか。
場所 北区岩淵町32-11
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