路傍の庚申塔(豊島区長崎)
路傍の庚申塔は思いがけない場所にある。西武池袋線東長崎駅から北へ500m余り、都道420号鮫洲大山線にある豊島長崎六郵便局の裏手の路地角の隅切り部分に一基の庚申塔が立っている。
造立年は安永3年(1774)12月。駒型で、日月、青面金剛像、邪鬼、三猿、二鶏が彫られている。右側面には「右 いたはし道」とあり年紀が記されていた。一方の左側には「武刕豊嶋郡長崎村」とあり、「左 なかの道 願主 高木作右衛門 講中十六人」と書かれている。
典型的な江戸時代後半の庚申塔である。この場所がどんな場所なのか、時代を遡ってみた。大正末期以降は現在と道路はあまり違わないが、唯一郵便局前の都道は千川上水沿いの道であった。関東大震災以前はこの辺りも藪と畑のエリアだったようで、明治時代までさかのぼるとほとんど民家はない。しかし、千川上水から一本入った道は当時から存在しており、「水道向」という地名だった。千川上水沿いには家は殆どなく、この道沿いに農家が点在していたようだ。少し下手にはつい100年ほど前までは水車もあった。現在のサミットがあるすぐ北側で、サミットの場所には神社もあったようだが、戦後無くなっている。
場所 豊島区長崎6丁目9-15
| 固定リンク
コメント