善性寺の石仏(世田谷区豪徳寺)
豪徳寺と言えば井伊家菩提寺の豪徳寺が有名だが、周辺には良い寺院が沢山ある。小田急線豪徳寺駅を挟んだ反対の北側にあるのが善性寺。山号を赤堤山といい、土地に根付いた名前である。創建年は江戸時代中期の正徳5年(1715)。しかし創建間もない明和年間(1764~1771)には火災で焼失していたという。
寺の参道の入口にはきれいな堂宇があり、地蔵と角柱型石塔がある。石塔は享保5年(1720)と寺の創建直後のものだが墓石である。右の地蔵は宝暦4年(1754)10月の造立。台石正面には「百万遍講中」とあり、荏原郡赤堤村と松原村の銘がある。右面には「松原西山谷 念仏講中 女中弐十人」とかかれており、左面には世田ヶ谷宮ノ坂、竹ノ上、羽根木、上北沢村と書かれている。江戸時代の民俗信仰の全盛期のものである。
参道を進むと、草むらの中に石塔があった。正面には「廻国供養塔」とあり、その脇に安永6年(1777)11月の年紀が記されている。左面には「武刕荏原郡世田谷領松原村 願主 長右衛門」と彫られている。しかし裏面には「文久2年(1862)4月 石橋再建」とあるが、こちらは既存の供養塔に後年刻んだものだろう。
山門手前には不動明王像がある。この不動明王像の年紀やその他情報は分からない。しかし実は善性寺の本尊は不動明王像である。本尊の不動明王像は有名な良弁僧正がここで庵をむすんで彫刻したものと伝えられる。
場所 世田谷区豪徳寺1丁目55-23
| 固定リンク
コメント