民家の庚申(板橋区小豆沢)
龍福寺から寺坂を下る。かつての荒川低地はこのすぐ北に浮間の渡しがあり、浮間を経て川口へ向かう道筋。かつてのこの辺りの小字は下臺という。臺は台の旧字。すぐ東に袋村との村境があったが、下臺は浮間の渡しの南岸の位置づけだったのだろう。そんな坂下の民家の塀に堂宇が作られている。
ブロック塀によるものだがおそらく昔は木製の堂宇だったのだろう。中にあるのは2基の庚申塔。左側はシンプルな角柱型で、上部に日月があるが、正面は「庚申塔」という文字のみである。向かって左面には「南 いたばし 西 志村根葉吹上道」とあり、右面には「東 岩渕道 北 ▢▢▢」おそらく北は浮間渡だったのではないだろうか。造立年は嘉永6年(1853)4月で明治維新の15年前である。願主は平岩〇〇とある。
右側は台石に載せられた駒型の庚申塔。時代は新しく、明治36年(1903)3月の造立。青面金剛像、邪鬼が描かれているが三猿は見当たらない。もしかしたら昔の台石にはあったというようなこともあり得る。向かって左面には、「西 中仙道 南 いたばし 小豆沢村」とあり、右面には「北 わたしば 東 あかばね道」とある。台石には「下講庚申講中」とあるが、これは下臺の庚申講中ということだろうか。
場所 板橋区小豆沢4丁目21-20
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