ゼームス坂下の馬頭観音(品川区南品川)
大井町駅の東側から緩やかに下り新馬場駅付近に至るゼームス坂。比較的まっすぐでバスも通る広い道だが、実は江戸時代からある古い道。坂下で東に折れて第一京浜(国道15号)を横切り旧東海道に出る道筋は江戸時代から変わっていない。坂下の新馬場駅周辺にはお寺が多いがこれも江戸時代から同じ。
この坂下の数坪の土地に立派な堂宇があり馬頭観音が祀られている。造立年は大正2年(1913)2月。堂宇内の左隅には「七代前馬頭観世音」と彫られた石塔があるが、さすがに七代は変。この石柱の意味は分からなかった。この馬頭観音は昔、武州上岡妙安寺から分霊したと伝えられるが、これは目黒銀座馬頭観音と同じ出所である。関係性は分からないが、同じ東松山の寺から複数分霊されているのは興味深い。
この馬頭観音は元からここに在ったのではなく、旧池上道から移されたという。旧池上道というのは、青物横丁駅前から東海道と分かれて仙台坂を上り、大井町駅の南を経て大森を経て神奈川県に至る東海道以前の中世からの旧旧東海道で、現在は池上通りと呼ばれ、江戸時代以前は平間街道とも呼ばれた。池上道のどのあたりにあったのかは分からない。距離的には仙台坂辺りだろうと思う。ただ、気になるのは明治時代前期の地図を見るとこの場所に石碑石塔があったことが記されている。しかし明治末期の地図ではここは海蔵寺の境内になっている。明治時代以前にあったものは一体何だろうか。
場所 品川区南品川4丁目4-1
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