篠本家の馬頭観音(板橋区徳丸)
前谷津川の左岸は南面の傾斜地で、そこから台地上にかけては日当たりが良く、今でも旧家が多く残っている。多くの家には屋敷神があり、武蔵野の農家の印象を残している。そんな旧家のひとつと思われるのがこの篠本家で、塀に馬頭観音が格納してある。
この馬頭観音はなぜか板橋区の資料にも載っていない。篠本家の名前についても近隣の他の庚申塔や石仏にもほとんど出てこない事と関係があるのだろうか。篠本という名前は姓のデータで調べると甲斐の国起源で、東京、茨城、大阪、兵庫に多い。全国には1500人ほどの篠本さんがいらっしゃるようだ。しかし篠家という旧家が練馬近辺(特に下練馬村)では特にリーダー的な存在だったことから、その分家か隠居が元篠家ということで篠本を名乗った可能性も十分にあり得ると私は考えている。
馬頭観音は角柱型で、正面には「奉勧請南無馬頭観世音菩薩」、その右に「具一切功徳慈眼視衆生」、左に「福聚海無償是故於順禮」とある。造立年は大正3年(1914)2月の建立と書かれており、願主名は篠本善之叡と読める。旧家の多い徳丸はあちこちにこういった個人所有の石仏があって散策の楽しみは深い。
場所 板橋区徳丸5丁目34-6
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