バス折返場の馬頭観音(練馬区大泉学園町)
西武バスの長久保折返し場のフェンスの脇に角柱の石塔が立っている。都道(県道)東京朝霞線の33m道路沿いである。陸上自衛隊の朝霞駐屯地の少し南にあたり、ここは東京都練馬区が少しだけ埼玉県朝霞市に食い込んでいるエリアで、駐屯地の大部分は埼玉県になる。戦前は軍の施設であったが、昭和初期はまだ朝霞ゴルフ場と武蔵野原だった。駐屯地の南側はかつては長久保という地名だったが、現在は大泉学園町に吸収されている。
角柱型石塔は馬頭観世音で天保3年(1832)の造立。残念ながら現在は大半が剥離摩滅していてほとんど文字が読めない。練馬区の資料はつい30年程前のものだが、その時代にはかなりはっきりと読めていたようだ。資料に助けられながらであるが、右面には「上新倉村 富五郎 子ノごんげん道 下小槫村 甚蔵」とある。「小榑(こぐれ)村」は昔のこの辺り、大泉学園町にあった村名である。左面には「大山道 下新倉村新田」とあるので、下小榑村と下新倉村の馬持が建てたものだろうか。
しかし30年ほどでこれほど摩滅と剥離が進むとは心配なことである。明治初期の地図を見ると、長久保の集落の一番北にある民家がこの辺りになる。ただ半里(2㎞)も北へ行くと川越街道があり、原新田という小字で賑わっていたようである。下新倉村新田というのはこの原新田のことではないだろうか。
場所 練馬区大泉学園町8丁目25-11
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