西本村稲荷神社前庚申塔(練馬区平和台)
地下鉄有楽町線の平和台駅の東側の旧地名は丸久保、そのさらに東側は本村と言った。本村というのはどこでもほぼ同じく村の中心という意味合いの地名である。板橋で石神井川に合流する田柄川は旧川越街道のすぐ南を流下した後、南流してこの本村のすぐ東を流れていた。田柄川の上流は田柄用水とも呼ばれた農業用水であったが宅地化が進んだために、土壌の保水バランスが崩れ水害を繰り返しやがて暗渠となってしまった。
この稲荷神社はとても小さな神社だが境内はそこそこあり、創建年不明ながら延宝年間(1673~1681)には西本村神社として信仰されていたという。氏子の数も江戸時代から現在まで20戸弱で変わらない珍しい神社でもある。前を通る道路は練馬の円周道路を結ぶ北西から南東に延びる直線路である。稲荷神社の前の屋根付の堂宇に角柱型の庚申塔が祀られている。
正面に大きく書かれた「庚申塔」の文字も薄くなるほど摩滅が進んでいる。上部に日月があるのが一般的だがそれを視認することができない。ただ台石には三猿の陽刻の盛り上がりが見て取れる。造立年は文久3年(1863)10月で▢▢村とあるが、これは西本村なのか本村なのか下練馬村なのかは分からず。右面には、「武刕豊嶋郡下練馬村本村」の銘と、「右 大山 新高野道 廿余人講中」とある。地元に密着した稲荷神社と庚申塔なのだろう。高野というのはおそらく練馬高野台駅近くにある東高野山長命寺のことではないだろうか。
場所 練馬区平和台4丁目2-12
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